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大阪高等裁判所 平成12年(行コ)45号 判決 2000年11月29日

控訴人

株式会社A

右代表者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

須田政勝

被控訴人

大淀税務署長 水垣修一

右訴訟代理人弁護士

辻中榮世

右指定代理人

佐野年英

原田一信

松尾安起

新免久弘

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対して平成八年七月九付けでした控訴人の昭和六三年六月一日から平成元年五月三一日までの事業年度(以下「平成元年五月期」といい、事業年度については同様に表示する。)以降の法人税についての青色申告承認取消処分を取り消す。

3  被控訴人が控訴人に対して平成八年七月九日付けでした控訴人の平成元年五月期、平成二年五月期、平成三年五月期、平成四年五月期、平成五年五月期、平成六年五月期、平成七年五月期の各事業年度(以下、これらを併せて「本件各事業年度」という。)の法人税についての更正処分及び重加算税(なお、平成元年五月期、平成四年五月期、平成六年五月期及び平成七年五月期は一部過少申告加算税)の各賦課決定処分は、平成元年五月期につき所得金額四二二〇万六四二〇円、平成二年五月期につき所得金額四二五六万〇二二〇円、平成三年五月期につき所得金額四七八五万五〇〇一円、平成四年五月期につき所得金額九八二二万〇二六三円、平成五年五月期につき所得金額二二〇万七二八三円(ただし、国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)、平成六年五月期につき所得金額二八七五万二二〇一円(ただし、国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)、平成七年五月期につき所得金額一億七六四一万五〇七三円(ただし、国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも超える各部分を取り消す。

4  被控訴人が控訴人に対して平成八年七月九日付けでした平成三年五月期の法人臨時特別税、平成四年五月期及び平成五年五月期の法人特別税についての各決定処分(平成四年五月期については更正処分)及び重加算税(平成四年五月期は一部過少申告加算税)の賦課決定処分(ただし、平成四年五月期については、法人特別税額七二万七七〇〇円を超える部分、平成五年五月期については国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。

5  被控訴人が控訴人に対して平成八年七月九日付けでした平成二年五月期ないし平成七年五月期の各事業年度に対応する課税期間(以下「本件各課税期間」という。なお、平成二年五月期の事業年度に対応する課税期間を「平成二年課税期間」といい、以下、順次、各事業年度に対応する課税期間について同様に表示する。)の消費税についての各更正処分及び重加算税(平成五年課税期間及び平成六年課税期間については一部過少申告加算税)のうち、平成二年課税期間につき課税標準額九億二一七七万五〇〇〇円、納付すべき消費税額二二八万五六〇〇円を超える部分、平成三年課税期間につき課税標準額一〇億八〇三六万六〇〇〇円、納付すべき消費税額四〇八万四七〇〇円を超える部分、平成四年課税期間につき課税標準額一三億〇七三六万三〇〇〇円、納付すべき消費税額一三九万一七〇〇円を超える部分、平成五年課税期間につき課税標準額一一億二二五〇万五〇〇〇円、納付すべき消費税額四四八万二〇〇〇円を超える部分(ただし、国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)、平成六年課税期間につき課税標準額一一億六九六二万六〇〇〇円、納付すべき消費税額四九一万一三〇〇円を超える部分(ただし、国税不服審判所長の裁決により一部取り消された後のもの)、平成七年課税期間につき課税標準額一六億七〇三〇万円、納付すべき消費税額八八四万八四〇〇円を超える部分、以上をいずれも取り消す。

6  訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨。

第二当事者の主張

次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「事実」中の「第二 当事者の主張」(原判決七頁四行目から同二〇頁末行まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一三頁二行目の「B株式会社」の次に「(以下「B」という。)」を、同四行目の「丙」の次に「(以下「丙」ともいう。)」を、同六行目の「トラック一台」の次に「(前記トラックと併せて、以下「本件各トラック」という。)」を、同八行目の「丁」の次に「(以下「丁」ともいう。)」をそれぞれ加え、同一五頁二行目の「国税通法」を「国税通則法」と改める。

二  同一八頁二行目から三行目にかけての「右業者(以下「某社」という。)」を「右業者(以下「某業者」という。)」と改め、同一八頁ないし二〇頁中の各「某社」をいずれも「某業者」と改める。

三  同二〇頁中の各「本件トラック」をいずれも「本件各トラック」と改める。

理由

一  当裁判所も、控訴人の請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の「理由」(原判決二一頁二行目から同三六頁六行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決の右引用文中の各「某社」をいずれも「某業者」と改める。

2  原判決二一頁四行目の「三〇、」の次に「四七、」を加え、同八行目の「本件四当事者」を「本件四業者」と改め、同一〇行目の「主張するが、」の次に「原審においては、」を加え、同二二頁一行目の「提出しない。」を「提出しなかった。」と改める。

3  同二七頁七行目の次に改行のうえ、次の記載を加える。

「3 控訴人は、当審において、戊作成の陳述書(甲四四)を提出したところ、右陳述書には、戊が本件四業者の名称を使用して、控訴人と本件の残土引取及び砂利販売の各取引を行った旨の陳述記載がある。しかし、右陳述書は前記2の認定を左右するに足りるものではない。その理由は以下のとおりである。

右陳述書には、今回、戊が陳述書を作成するに至った経緯について、大要、「平成一二年五月、コンクリート・ガラを処分する必要があった際、過去に取引があった控訴人が産業廃棄物の問題で社会問題になっていることを新聞で知り、それなら何とかコンクリート・ガラを安く処理してもらえないかと考え、控訴人に電話をした。その際、控訴人から税金問題について事実を述べてもらえないかとの依頼があり、これに応じることにした。」というものであるところ、税務調査あるいは遅くとも平成八年八月一九日に控訴人が本件各処分に対して異議申立てをしたころには某業者の存在は問題となっていたのであり、その当該業者が、本件訴訟が当審に係属した途端に当該業者からの偶然の電話で判明するということ自体、極めて不自然である。また、控訴人代表者甲は、本件の税務調査の頃、某業者に対し、税務署に対する説明を依頼したが応じてもらえなかった旨の供述及び陳述(甲四〇)をしているところ、戊は何らそのような事情について陳述記載をしていないし、右依頼をいったん断りながら今回その説明をするに至った理由も明らかではない。さらに、戊が控訴人に電話をかけた動機も、控訴人が社会問題となっていることを新聞で知り、その控訴人に仕事を依頼しようとしたというものであって、そのころ控訴人が新聞で問題になったかどうかも明らかではないし、そのようなことがあったとしても、社会問題になった業者に仕事を依頼しようとするその動機自体理解し難い。そして、戊と控訴人との取引についての戊の陳述内容も、控訴人の主張に沿うものであるにしても、具体性に乏しいし、その取引を具体的に裏付ける証拠もない(戊は、取引内容を一切帳面等に記載していないと陳述している。また、前記認定事実からすると、預金通帳(甲四七の1ないし4)が右取引を裏付けるものとはいえない。)。そして、前記認定事実によれば、その取引における手続自体、不自然、不合理なものといわざるを得ない。」

4  同二七頁八行目冒頭の「3」を「4」と改める。

5  同三〇頁ないし三三頁中の各「本件トラック」をいずれも「本件各トラック」と改める。

6  同三〇頁六行目から七行目にかけての「乙二六ないし二九、乙六八ないし七〇、甲二四、二五、三六(いずれも枝番を含む。)」を「甲二四、二五、三六、乙二六ないし二九、六八ないし七〇(枝番を含む。)」と、同九行目の「転送先である」を「転売先である」とそれぞれ改め、同三一頁末行の「本件訴訟」の次に「(原審)」を加える。

二  その他、原審及び当審における控訴人提出の各準備書面記載の主張に照らして、原審及び当審で提出、援用された全証拠を改めて精査しても、引用にかかる原判決を含め、当審の認定判断を覆すほどのものはない。

三  よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用は控訴人に負担させることとして、主文のとおり判決する。

(平成一二年九月一三日口頭弁論終結)

(裁判長裁判官 竹原俊一 裁判官 東畑良雄 裁判官 古久保正人)

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